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少ないデメリットで借金を減額できる?「任意整理」とは

少ないデメリットで借金を減額できる?「任意整理」とは

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カテゴリ:コラム一覧

任意整理は、債務整理の中の一つ

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そもそも債務整理とは

債務整理は、借金を返したくても生活がままならず返せなくなってしまった人を救うための手続きです。法律の深い知識や裁判所への手続きなどが関わるので、個人でというよりも弁護士に相談して行います。減らすことのできる返済額の量とそれにともなうデメリットの多さによって基本的に3種類の方法に分かれ、借金の状況と収入・支出の状況、相談者の希望などを踏まえて、弁護士が最適なものを行なってくれます。

3つの債務整理の特徴

  • 自己破産

すべての借金の返済義務がなくなる代わりに、生活に不可欠な財産と最低限の現金を除いて、すべてが処分されます。処分された財産は返済にあてられ、持ち家に住んでいる場合はそれも売却されるので、賃貸物件などに引っ越すことになります。

保証人を立てている借金は残りの返済が保証人に請求されてしまうため、迷惑がかかってしまいます。自己破産した事実は、消費者の返済能力などの情報を債権者に提供する信用情報機関に記録され、その後5〜7年ほどの間は新たに借金したりクレジットカードの使用ができません。

また、返済の停止は裁判所を通して行われるので、国の発行する官報に破産者名が載ります。デメリットは多いですが、返済が不可能で精神的にも追いつめられ、どん底に落ちてしまった人の人生を立て直す有効な手段といえます。

  • 民事再生

財産をほとんど処分される自己破産に対して、債務の一部だけを返済すれば財産を処分しなくても残りの返済義務がなくなる、という手続きです。収入はあるもののそのまま返済額では難しい、持ち家や財産を手放したくはないという人に向いています。減額された残りの返済が保証人に請求されることや、信用情報機関・官報に記録されることは自己破産と同じです。

  • 任意整理

こちらがこのコラムの本題となります。自己破産・民事再生とは違い、裁判所を通さず借金をしている金融業者に直接交渉をするという、まさに任意で行なう債務整理です。

借金の利息に着目することで返済額を減らし、元本のみを3〜5年で全額返済することを交渉します。したがって他の二つよりも返済額は高めですが、デメリットが少ないのが特徴です。収入が安定しており最後まで返済できる見込みはあるけれど、今の金額で返していくとなると余裕がない、という人に適しています。次の項目から詳しく紹介していきます。

任意整理についての詳細

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メリットとデメリット

裁判所を通さず金融業者一つ一つと直接交渉する、利息を正しく計算し直すことで減った返済額を全額返済する、その後の利息全ての支払いのカットも交渉する、という特徴から、利点と欠点がわかります。

  • 利息の支払がカットされることで、毎月の返済がすべて元本のほうにあてられるので、返済の終了が早まります。
  • 裁判所へ提出する書類を作成する必要がなく、自己破産や民事再生よりも手続きにかかる手間が少なくて済み、官報に手続きが記録されることもありません。

ただし、信用情報機関へ記録されるのは他の債務整理と同じなので、新たな借金やクレジットカードの使用はしばらくできなくなります。

  • 保証人へ迷惑をかけずに済みます。

借金をしている複数の業者の中から手続きしたいところを選ぶことができるので、保証人を立てている借金はそのまま返済し続けて、立てていない借金だけを整理する、といった選択が可能です。また、弁護士に依頼するとき保証人も一緒に委任状を書いておけば、保証人への請求を回避することができます。

どのようにして返済額が減るのか

利息を正しく計算しなおすと減額されるのには理由があります。2010年に貸金業法が改正される以前には「グレーゾーン金利」というものが存在し、違法な高金利でお金を貸しても刑事罰にはならないという法律の穴がありました。

それは、金利の上限を定めた2つの法律の違いによるものです。一つ目の利息制限法の「金利が上限15〜20%(借入額によって変わる)を越えると無効になる」という内容に対し、二つ目の出資法には当時「金利が29.2%を越えた場合は刑事罰が科せられる」と定められていました。

つまり、本当は15〜20%を越えたら法に触れるのに、29.2%を越えなければ無効になるだけで罪にはならないことになります。そのため、多くの金融業者が29.2%を上限として金利を決めていました。現在は出資法の定める上限が利息制限法と統一されているため、これから借金をする人は法外な利息を請求される心配はありません。しかし、改正前に借金をした人はすでに必要のない利息をかなり支払っている可能性があります。

任意整理では、借金をした時点から現在までの利息を利息制限法の15〜20%の上限で計算し直し、本当の返済額を導き出します。その結果、グレーゾーン金利の分だけ余計だった返済額が本来の額になることで減額となるのです。

すでに払ってしまった余計な金利の分は、再計算後の返済額から差し引かれます。中には、払ってしまった余計な利息が、残りの返済を上回ってしまっていることもあります(過払い金)。

  • 今後の利息をカットする交渉

任意整理におけるもう一つの目的です。最初から正しい金利に設定されていると金利の再計算では返済額は変わらないことになりますが、同時にこちらの交渉によっても返済の軽減がはかられます。

交渉の最中の期間の利息(経過利息)と、合意後から返済完了までの期間の利息(将来利息)と、滞納があった場合の損害金をカットし、返済額を元本のみとすることの合意を金融業者に求めます。業者にとっては一見損ですが、これが通らず債務者に民事再生や自己破産をされるともっと損をしてしまうため、交渉に応じてもらえることが多いです。

任意整理の手順

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まず、相談する弁護士を探さなくてはなりません。特につてがなくても、役所や弁護士会が実施する相談会へ足を運んだり、法テラスを利用したり、自分で事務所のウェブサイトなどから調べて電話予約したりなど、方法はいろいろあります。

いずれにしても大事なのは、相談する弁護士が債務整理を専門としているか、実績があるか、評判は良いか、弁護士費用は払える範囲の金額か、といったことを分かった上で選ぶことです。次に、実際に相談するときについてですが、注意すべきは制限時間があることです。悩みや希望を全て伝えられるように、事前に準備しておきましょう。

金融業者の数とそれぞれの連絡先、借金をした日にちと総額、現在の返済状況、毎月の収入と支出を整理しておきます。相談当日には、借金の契約書、カード、最近の請求書など借金に関する資料、やりくりが記録された通帳、源泉徴収票など収入を証明するもの、身分証明や印鑑を持参します。

持参された資料や債務者の希望をもとに、任意整理をするのか、できるかどうかがを決定します。依頼が成立すると、金融業者へ受任通知が発送され、交渉が終わるまで返済が一時停止します。

その間は弁護士にすべて任せておけば、業者から取引明細を開示させ、正しく再計算した返済額を提示し、残りの利息のカットの合意をとり、3か月ほどで債務者の希望に沿うような和解契約が交わされます。あとは、契約通りに返済をしていけばもう借金に悩まされることはなくなります。

弁護士費用はどのタイミングで発生するのか

任意整理の相談は無料でできるところが多く、依頼が成立して初めて料金が発生します。着手金は依頼した金融業者の数によって、成功報酬は返済額の減額できた数字によって決まります。事務所や弁護士によっても金額は違うので、事前にある程度調べたり相談時にしっかり見積もってもらいましょう。

返済後でも過払い金の請求ができる

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グレーゾーン金利のせいで余計な利息を払ってしまい、知らずにそのまま完済してしまった場合は、後から過払い金を取り戻すことができます。することは任意整理の時と同じく正しい利息の再計算なので、任意整理をしていれば発覚して取り戻せるものです。

自分が過払い金を払ってしまっているのか知りたいという場合は、利息制限法の上限の15〜20%を越える金利だったかどうかを調べる必要があるので、弁護士に相談するのが有効です。持参する資料も任意整理の時と同じようなもので大丈夫です。

相談料は無料で、弁護士費用も返還された過払い金の額の何割かという計算(+着手金)なので、弁護士費用だけでなくなるということはまずありません。なお、過払い金の時効は10年となっています。

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