就労不能に陥りそうなときの、生活保護と負債との向き合い方
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そもそも、借金がある状態で生活保護を受給できるのか
多重債務に苦しむ人が、もし疾病・傷病などでやむなく失業してしまった場合、どうなるのでしょうか。失業保険がしばらく支給されるとして、一定の給付期間後が過ぎれば、完全に無収入状態となります。この状態では、借金の返済はおろか、生活をすることもままなりません。こういったケースの場合、最後の行政からのセーフティガードとして「生活保護の申請」が考えられます。
借金があっても、就労できない正当な理由があれば生活保護の受給は可能。
生活保護法には、受給認定の基準に個人の負債という項目はありません。以下の条件を満たすことで、生活保護の申請・受給認定は十分に可能です。
- 疾病や傷病等でやむなく働けない状態にある
- 無資産である
- 扶養できる家族や親族がいない
昨今は不正受給問題などもあり、申請者の債務の理由などを聴取した上で受給申請可否を判断するケースワーカーもいますが、その場合は地域の福祉事務所へ相談することで、生活状況の説明をする付添人を通して申請できる可能性が十分に見込めます。ここで問題になるのが、債務額です。
債務額が多い場合、自己破産を奨められる
生活保護の受給開始前に、負債額と返済期間・毎月の返済額とあわせて、借金返済額以外に必要な生活の支弁費用も聞き取り調査されます。この理由は、
- 生活保護支給額から多額の返済をすることで、本来の生活保護の目的を達することができないのではないか
という指摘にあります。つまり、月々の返済が一定額以上に上る場合は、生活保護申請前に弁護士を通じての自己破産を奨められるのが一般的です。とはいえ、自己破産には様々なデメリットがあり、短期間の療養・就労不能などで再起できる人にとっては、生活に大きな傷跡を残すことは否めません。
そこで、自己破産ではなく、債務整理・任意整理などで月々の返済額を減らすことで「支給される金額で生活ができる」との説得力を与えるのがよい場合も多々あります。
債務整理・任意整理のタイミング
相談は、生活保護申請前かつ無収入に陥る前に!
生活保護という状況が見え始めたら、どのタイミングで負債についての相談をすればよいのでしょうか。債務額の整理の本質とは、一定の収入があることを前提条件に弁護士・司法書士が債権者と交渉し、月々の返済額を約定することにあります。つまり、完全な無収入状態(就労不能の状態)では、ほとんど対応してもらうことが出来ません。
加えて、生活保護受給開始後の債務整理相談には応じないというスタンスを、大半の法律事務所がとっています。就労不能の理由が重度のものでない場合は、短時間のアルバイト・パート等でも構わないので、収入のある状況を作ってから相談することをお勧めいたします。
多重債務の場合は、任意整理に応じてくれない債権会社もある
数社から借り入れされている方は、特に注意すべきことがあります。
任意整理・債務整理というのは、
- 借入額を一本化/無利子化して月々の返済先をシンプルかつ少額に抑えること
上記にポイントがあるのですが、債権会社によっては任意整理に全く応じない姿勢をとっている場合があります。この場合はやはりコツコツと月々の返済額を守るか、あるいは生活保護受給に向けて自己破産という道を選ぶ他ありません。この点については、債務整理を多く取り扱う司法書士・弁護士事務所が確認をとるので、一度借入先をご自身で確認してから相談をするとよいでしょう。
2010年より以前から負債のある人は、まずは過払い金相談を
過払い金の扱いは、無収入に陥った場合、生活保護法上どのようになるのでしょうか。結論として、過払い金は「収入」あるいは「資産」とみなされます。また、これを以て現状の返済に充足し、月々の返済額を減らすことも可能でしょう。
- 生活保護受給開始後に過払い金が発生したら
万が一にも受給開始後に過払い金の返還が実際に起こった場合、前述にもありましたが「収入」とみなされ、支給額の厳格・生活保護の一時停止などがあり得ます。負債の返済において、長期的な目でみれば、あまり有利な状況とは言えません。こういったことを念頭に置き、生活保護を申請する状況が予測できた場合は、早めの行動・相談・着手依頼をお勧めいたします。
資金力マイナスからの借金相談方法
生活保護を受給するにあたり、自己破産または債務整理・任意整理が可能かどうかについては、相談先として代表的なのが法テラスでしょう。任意整理・債務整理を望まれる人にも、なんらかの理由で就労不能となっているケースが増加しており、民間の司法書士事務所・弁護士事務所でも、生活保護受給相談のひと枠として対応する事務所が増えています。
地域ごとの福祉事務所・福祉機関でも相談に応じてくれる場合がある
債務が心の負担となって就労により支障をきたす・就労できないことによってより負債が増す…といったデススパイラルに陥る方は、少なくありません。むしろ、社会全体で見れば増加傾向にあり、そういった方にとっては「生活保護による一時休息・回復への道」を拓くことがまず優先されるされるでしょう。
こうした状況下の生活保護申請・相談も比例して増える傾向にあります。そこで、司法書士・弁護士事務所への仲介も請け負う福祉事務所・支援団体が各地域で続々と誕生しています。
- 法テラスや弁護士事務所よりも、民間NPO団体や福祉事務所のほうがより柔軟な対応をしてくれる場合も
弁護士や司法書士事務所・債務の相談に特化した相談機関では、実際に債務を負うことになった背景事情などにはなかなか踏み込んでくれません。債務整理と生活保護の申請相談、無収入状態への備えなどを平行して行うことにより、これから生活保護受給生活に入る人の心理的負担はより増加し、社会復帰・安定した返済が可能となる状況への道のりが遠くなる可能性は否めません。
こうしたことを念慮して、前述に掲げたように、債務を負うに至った状況と生活保護申請相談に応じてくれる、総合的な窓口への相談を強くお勧めいたします。
弁護士相談費用・着手金などはどうなる?
最後に問題になるのが、「実際に債務整理・任意整理・過払い金相談で問題が解消された場合に、相談費用・着手金や依頼費用はどのように工面すればいいのか?」という点にあります。年々増えるかかる問題の相談で、依頼者の奪い合いなどといった競争が激しくなりつつあり、多くの弁護士・司法書士事務所では分割払いに柔軟に対応をしております。一般的に、
- 司法書士事務所では着手金ゼロ、成功報酬は12〜24回払い、6社程度の債務整理なら10万円〜15万円程度を分割払い
- 弁護士事務所では着手金が2〜3万円、成功報酬は司法書士に準じる
こういった傾向にあります。
生活保護受給にあたっては「着手金や成功報酬の支払い期間・金額」も、生活保護のケースワーカーへの報告義務があるため、要注意すべきでしょう。このようにして見ると、司法書士事務所のほうが安上がりで安心できるように思えますが、弁護士に依頼するメリットとしては
- 債権者との和解交渉においては司法書士よりも出来ることが多く、月々の返済額をより抑えることが期待できる
この一点につきます。
資力にまだ余力がある人は、弁護士事務所に一度依頼をしてみてから、納得できなければ債務整理を専門とする司法書士事務所に相談するのが得策でしょう。いずれにしても、生活保護受給申請前に
- 債務整理の相談とその解決
- 成功報酬や着手金の解決
を済ませておくのが、万全策と言えます。
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