借金返済がなくなる!?債務整理のメリットとデメリット
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日本では、借金に悩んでいる人、とりわけ多重債務に陥っている人が数百万人いるといわれています。
借金で困っていると毎日が督促との戦いになり、神経を消耗し、果ては夜逃げという形でしか解決できなくなることも多いのですが、借金は法律的に解決できる問題でもあります。借金で首が回らないときには冷静な判断ができにくくなりますが、そんなときこそ法律のプロに相談して合理的に問題を解決することが大切です。
返済ができないほどの借金を背負ってしまったときには、債務整理という方法で借金を整理する方法があります。債務整理には4つの手段があり、それぞれの状況に応じていずれかの解決方法を選ぶことになります。それぞれにメリット、デメリットがありますので、ここではその詳細についてみてゆきたいと思います。借金返済に行き詰ったときの参考にしてください。
債務整理をするときには、弁護士や司法書士などの法律のプロの手を借りる必要がありますが、依頼するお金がないというときには法テラスの制度を利用しましょう。法テラスは国が作った法律案内所で、無料相談や弁護士費用などの立て替えも行っています。
費用についてはのちに分割払いで月に5千円〜1万円程度の金額にして支払うことができますので、借金の整理が終わったあとに計画的に返済することができます。また依頼費用もリーズナブルな設定となっています。
これまでは借金返済で困っている人は弁護士費用などを支払えないときには、一人で悩まなくてはならなかったのですが、法テラスの設立以降は相談しやすい環境となっていますので、借金で困ったら早めに相談に行くことが問題解決の鍵となります。
4種類の債務整理について
ここでは4種類ある債務整理についてみてゆきます。
- 自己破産
自己破産は裁判所に破産申立書を提出して、負債を支払うことができないと認められたら、借金を免除してもらえるという制度です。免責が認められると税金を除く負債の支払いをする必要はなくなります。
- 個人再生
個人再生とは2001年にスタートした比較的新しい制度で、例えば600万円の借金のある人が、今後の三年間で200万円を支払うという計画を裁判所に提出をして、その通りに支払いができれば残りの借金を免除するという方法で、約束した分の借金を支払えば残りの支払いの必要がなくなります。
- 任意整理
任意整理は、裁判所などの公的機関を通さずに、弁護士や司法書士と貸付業者との直接交渉により、利息や元金を減免して負債を返済してゆくという方法です。基本的には三年程度で借金を返す見込みがあるときにこの制度を選択することになります。
- 特定調停
特定調停も比較的新しい整理方法で、このままいけば借金が返せなくなる、というときに簡易裁判所を通じて負債を圧縮手続きを行うことで、借金を抱えた個人の経済的な再生を目指す方法です。
債務整理のメリット
債務整理には上記でみたように4つの方法がありますが、それぞれにメリットとデメリットがあります。最初に債務整理のそれぞれのメリットについてみてゆきます。
- 自己破産のメリット
自己破産のメリットはなんといっても、借金の支払い義務がなくなることです。自己破産の手続きを開始したら、債権者は差し押さえなどの強制執行を行うことができません。またある程度の財産は手元に残すことができます。
- 個人再生のメリット
個人再生のメリットは、原則として借金が大幅な減額となるため、任意整理よりも借金減額という点でのメリットは大きくなります。自己破産と違って、自家用車やマイホームを手放さなくても良いため、今ある自宅を手放さずに借金の整理をしたい人にはおすすめの方法です。職業などの資格制限もありませんので、社会的なダメージは少ない整理方法です。
- 任意整理のメリット
任意整理のメリットは、基本的に手続き後の利息が減免となるため、借金返済が随分と楽になります。また過去にさかのぼって金利の引き直し計算をしますので、消費者金融で高利で借入をしていた場合には、過払い金請求をすることもでき、場合によってはその後の借金がなくなる、または大幅な減額となる可能性もあります。
過去の借金の利息の引き直し計算は複雑であるため、過払い金をきちんと取り戻すためにも経験豊富な弁護士、司法書士に依頼をすることをおすすめします。
- 特定調停のメリット
特定調停は任意整理と同様に、債権者とのみ調停を行う整理方法で、裁判所で行う整理方法ですが、弁護士を通さずに自分で手続きをすることができるため、費用面での負担のない方法です。
債務整理のデメリット
- 自己破産のデメリット
自己破産のデメリットは、信用情報機関に登録をされるため、今後5〜10年は新たにお金を借り入れたり、クレジットカードなどを作ることができなくなります。また自己破産をすると住所や氏名が国の発行する官報に掲載され、自己破産の手続きが終わるまでの一定の期間は、各自治体の自己破産者の名簿にも登録されることになります。
また自己破産による免責が決定するまで資格制限があり、会社役員、士業、宅建主任者、警備員、証券外務員などの職業に従事することもできません。さらに自己破産の手続きが完了するまで自由が制限され、長期の旅行なども裁判所の許可がいります。そして自らの財産等の処分をしなくてはならないことも大きなデメリットで、預貯金は20万円まで、現金では99万円までしか手元に残すことが認められません。
- 個人再生のデメリット
個人再生のデメリットは、自己破産と同じく国が発行する官報に住所、氏名が記載されてしまうということです。自己破産と違って、借金を返せるだけの収入があるときのみ認められる方法であるため、誰でもできるわけではないところもデメリットと言えます。また信用情報機関の登録もされ、以後の5〜10年間は新たな借入、クレジットカードの発行などはできなくなります。
- 任意整理のデメリット
任意整理のデメリットは、自己破産や個人再生に比べて借金の減免の幅が少ないことがあげられます。過払い金がない人にとっては負担感の大幅軽減を感じられないこともあり、任意整理であっても信用情報機関には登録されますので、どのみち一定期間は新たな借入などをすることはできません。
任意整理は最もポピュラーな整理方法ですが、借金の額によっては、自己破産や個人再生を目指したほうが良い場合もあり、返済のめどがたたなければ自己破産、自宅などの財産を残したければ個人再生をおすすめします。
- 特定調停のデメリット
特定調停のデメリットは、法律上の複雑な手続きを自分で行わなければならず、書類をそろえて申し立てが終わるまで督促は続きます。またあくまで調停という話し合いであるため、不調に終わることも多々あり、話し合いがまとまらなかった場合には損害遅延金もしっかりと請求されます。
借金の返済ができなくて悩んでいる人は、督促が頻繁にくる状態に困っているのであり、その間、慣れない法律上の書類を整えて提出する作業は精神的にもプレッシャーとなります。手続き費用の安さは魅力といえますが、一時は40万件あった特定調停も、現在では10分の1程度に減っています。
ちなみに年間の自己破産の申し立て件数は10万件ほどですので、それと比較してもマイナーな方法となっています。また調停が成立する確率も低い水準となっているため、メリットよりもデメリットの方が多く発生するリスクがあることを押さえておきましょう。
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