過払い金請求で本当にお金は返ってくるのか?過払い金のまとめ。
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よく目にする過払い金請求って何?
近年テレビCMなどでよく債務整理を請け負う弁護士・司法書士事務所を見かけることが多くなりました。債務整理とはその名の通り、債務(=借金)を整理するということで、この債務整理の大きなくくりの中には、任意整理・民事再生・特定調停・自己破産・過払い金請求などがあります。その中でも近年特に増えてきたのが過払い金返還請求です。
そもそも過払い金とは一体何のことで、何故過払い金が発生するのでしょうか?過払い金とは、消費者金融やカード会社に払いすぎたお金(=取られすぎた利息)のことを指します。利息には国が定める利息制限法というものがあり、最高でも20%(借入額が10万円未満の場合)という法律があるのですが、2008年以前までは多くの貸金業者がこの20%を超過する金利で貸付を行っていました。
何故かというと、当時は利息制限法に罰則が無かったことと、もうひとつ出資法という別の法律があったからです。出資法では上限金利が29.2%となっており、利息制限法の上限金利20%との差がありました。その差が当時は法律上のグレーゾーン金利帯と呼ばれ、2008年以前はこのグレーゾーン金利を適用した貸付が多く行われたのです。
また、当時は貸金業法の「みなし弁済」というものがあり、これが「債務者が任意で利息制限法を超える金利で支払うのは構わない」という貸金業者に都合の良い法律であったために、一部条件を満たせば利息制限法の上限を超える金利で貸付を行うことが出来たのです。
しかしこのような「みなし弁済」が、裁判の判決や過払い金請求により徐々に否定されていくようになり、その後の法律の一斉改正に繋がっていきました。2010年に行われた一斉改正では主に以下のようなものがあげられます。
- それまで罰則の無かった利息制限法違反には行政処分の罰則がついた。
- 出資法の上限金利は20%まで引き下げられた。
- 貸金業法のみなし弁済が廃止された。
これによりグレーゾーン金利というものが無くなり、それまで払い過ぎであった利息(過払い金)の返還請求が可能になったのです。
過払い金請求が可能な人ってどんな人?
では実際にこの過払い金請求によって、過払い金が返還される可能性がある方とはどのような条件の方なのでしょうか?まずは、過去に20%を超える金利で借金を返済していた方です。過払い金とは利息制限法の上限金利である20%を超過している部分を指しますので、そもそも金利が20%未満の利息を支払っていた方は過払い金がありません。
次に、既に借金を完済もしくは現在も返済中であるが、2008年以前からの取引があるという方です。先ほどご説明した通り法律の一斉改正が行われたのは2010年ですが、2007年以降段階的に貸金業法が改正されており、多くの貸金業者は2007年中に金利を利息制限法の範囲内まで引き下げています。
ですから20%を超過した金利を払っていた可能性がある人(=過払い金がある可能性がある)は、2008年以前から貸金業者と取引を行っている(いた)人となるわけです。また、2008年以前の取引で既に借金を完済している方の場合は、その借金の最終取引日から10年以内であるということも条件ですので注意しましょう。
それは過払い金の返還請求の権利の消滅時効が、最終取引日から10年となっている為で、最終取引日から10年以上経過している場合は過払い金の請求は出来ません。
そして、既に借金を完済している方で多くいらっしゃると思うのが、支払明細書や借入時の契約書類をもう持っていないので過払い金請求は出来ないのではという方でしょう。しかし、貸金業者には過去10年間の商業帳簿の保存義務がありますので、書類等を紛失・処分していても過払い金請求は可能です。
過払い金請求できるとわかったけど、ブラックリストに載ったりしないの?
さて、過払い金請求が可能だと判明したところで、不安に思うのが過払い金請求をすることによるデメリットがあるのでは無いかということでしょう。過払い金請求をするとブラックリストに載って今後の借入が難しくなってしまうからしない方が良い、などと聞いて諦める方も多いようです。
確かに以前は完済後の過払い金請求であったとしても、信用情報機関に「契約見直し」という情報が登録されていました。しかし2010年4月19日にこの「契約見直し」というものは廃止され、現在は借金の完済後の過払い金請求であれば、信用情報機関には何の情報も登録されません。
では現在借金を返済中で過払い金請求をした方の場合はどうなのでしょうか?それは過払い金請求をした後の残債務があるか無いかによって変わってきます。借金をまだ返済中の場合に過払い金請求を行った場合、法定金利を超過していた利息分は、原則債務残高の返済に補填され返済額が減額されます。
その手続きは過払い金請求ではなく、任意整理という手続きになるため、過払い金請求をして残債務が残ってしまった場合は、「債務整理」という情報が約5年間信用情報機関に登録されます。その為今後5年間は新規の借入れが難しくなるデメリットがありますので、任意整理になる場合は注意が必要です。
また、過払い金請求後残債務が無かった場合(過払いだった場合)も一時的に「債務整理」という情報が信用情報機関に登録されます。しかしこれはあくまでも一時的なもので、最終的に過払い金返還の合意がなされた段階で「債務整理」という情報は抹消され、かわりに完済情報が登録されます。
手続き中は一時的にブラックリスト状態となりますので、手続き中にクレジットカードの更新などがある場合は注意が必要です。
過払い金請求はどうやってするの?費用はいくらぐらいかかるの?
では実際に過払い金請求をするにはどうしたら良いのでしょうか。一番手っ取り早いのは、弁護士や司法書士に相談して過払い金請求をしてもらうことです。弁護士などに相談すると費用がかかるのでご自分でされたいと思われる方も居るかもしれませんが、ご自分でされた場合のデメリットがいくつかあります。
まず、過払い金請求をするために必要な書類を揃えたりする手間が多くかかることと、手続きをするための時間が取られることです。またご自分でされる場合には、直接貸金業者とやりとりをしなければいけません。貸金業者は多くの場合、相手の方が一般の方だと強気の交渉に出てきます。
それによって実際の過払い金よりも不当に低額の和解金額を提示してくることがあります。そのようなことから、過払い金請求は交渉事に長けた弁護士や司法書士に依頼した方がベターですね。では弁護士や司法書士に依頼した際の費用ですが、主なものに以下の4つあげられます。
- 着手金
着手金とは貸金業者1社ごとにかかる費用で、相場としては1社につき4万円程です。
- 基本報酬
これは着手金とは違い、業務終了後にかかる費用のことで、こちらも相場は1社につき4万円程です。
- 成功報酬
こちらは過払い金を回収した場合にかかってくる費用で、回収した金額によって変わります。相場として20%程ですが、裁判などをした場合は25%程となるようです。
- 減額報酬
こちらは過払い金請求をした結果任意整理となり、まだ借金の残高が残ってしまう場合の報酬です。その場合は減額した借金の額に対して10%程が相場となります。また、上記の他に相談料を取るところもありますが、相談料は無料となっているところが多いので、まずは相談してみるのが良いかもしれませんね。
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